春の花の花言葉

イヌノフグリの花言葉/雄犬のアレだけど、貞淑な女性の象徴!?

Written by すずき大和

イヌノフグリの仲間は、春先に、道端や空き地、田畑のあぜ道などに咲いている、どこでも見られる雑草です。

日本で見られる仲間は、花がとても小さく(2~5mm)、花色も淡いものが多いので、あまり目立ちません。が、タイトル写真の「オオイヌノフグリ」だけは花が若干大きめ(1cm弱)で、花色も濃い目のブルーなので、よく目立ちます。

「イヌノフグリ」の“フグリ”とは、“陰嚢”のことです。タネの形が犬のソレにそっくりなのです。

昔の人はストレートに花名をいうかわりに、

  • 「瑠璃唐草(ルリカラクサ)」
  • 「天人唐草(テンニンカラクサ)」
  • 「星の瞳(ホシノヒトミ)」

なんて呼んでいました。

ちょっと恥ずかしい名称の花ですが、花言葉は、正反対のイメージというか、とっても神聖で貞淑な響きを持っています。

「“たま○ま”は女の操を暗示するのか!!!」

と、思わず叫びたくなった人は、どうぞ最後まで本文を読んでくださいませ。



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もくじ

イヌノフグリの花言葉

イヌノフグリ全般の花言葉

『信頼』
『女性の誠実』

オオイヌノフグリの花言葉

『神聖』
『忠実』
『清らか』

コゴメイヌノフグリの花言葉

『慎ましやか』

タチイヌノフグリの花言葉

『清浄』
『隠れた才能を持つ』

フラサバソウの花言葉

『一見こわもて』

西洋の花言葉(ベロニカ全般の花言葉)

『fidelity(忠実・信義・誠・貞淑)』(英)
『female fidelity(女性の忠節)』(英)
『fidélité(忠実)』(仏)
『Fidélité féminine(女性の忠誠)』(仏)
『Ayez confiance en moi(私を信じてください)』(仏)
『trouw(忠実)』(蘭)
『Treue(忠実)』(独)

イヌノフグリってどんな花?

ネモフィラじゃないよ

オオイヌノフグリは、最近観光花畑として人気が高まっている「ネモフィラ」に、花の色形がとても似ています。画像でしかネモフィラを見たことがない人の中には、オオイヌノフグリをネモフィラだと勘違いする人もいるそうです。

実はネモフィラの別名も、偶然か勘違いか、

「瑠璃唐草(ルリカラクサ)」

なのです。

が、全く別種の植物です。花びらやおしべの数も違うし、ネモフィラは花の大きさが倍以上大きいので、全然雑草のイメージではありません。

タネももちろん全然違います。安心して花畑へおでかけください。

1,オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリ


2,ネモフィラ

ネモフィラ


在来種は絶滅危惧種

イヌノフグリは昔からある在来種です。ピンクの地に紅紫色の縞が入った花びらの小さな花が咲き、タネは丸いふたつの塊がくっついた形をしています。花より大きく膨らむタネの重みで、花茎がちょっと下を向くと、まさに犬の股間にブラブラしているアレに見えます。

昔はどこでも見られる雑草でした。江戸から明治にかけて外来種が多く入ってきて、帰化した種の勢力にだんだん押されて減っていきました。現在では、環境省により絶滅危惧種に指定されています。

特に、ヨーロッパ原産のオオイヌノフグリは、自家受粉が可能で花期も長いため繁殖力が強く、イヌノフグリを淘汰するような形で広がっています。

他に、以下の帰化種が今も各地で自生しています。

1,コゴメイヌノフグリ

花が白いので、蕾がお米の粒のように見えるため、「小米イヌノフグリ」となりました。

2,タチイヌノフグリ

たくさんの茎が広がって繁殖せず、1本の茎がまっすぐ直立する品種です。

立犬の陰嚢


3,フラサバソウ

イヌノフグリと色形が似ていますが、葉や茎にたくさん毛が生えています。

フラサバ草


外来種も皆、ふたつくっついたタネができますが、形がとんがっていたり、毛が生えていたりして、在来種ほどアレっぽくはありません。

花言葉の由来

ベロニカとイヌノフグリ

イヌノフグリは

「クワガタソウ属(学名:Veronicaベロニカ)」

の仲間です。

クワガタソウ属は、世界に500種程あります。海外には長い花穂の品種もあります。

Veronica


日本では、花の形や生態が違う種は別物扱いですが、西洋では全部まとめて「ベロニカ」と呼ぶ国が多く、花言葉も全部一緒です。

日本のイヌノフグリの花言葉は、西洋のベロニカの花言葉の直輸入です。

聖女ベロニカ

もともと「Vetto-nica(ベットニカ)」という表記でしたが、変じて「Veronica」となりました。

キリスト教の逸話によると、イエスが処刑場に向かう途中で、歩み寄ってイエスの額の汗と血をヴェールで拭ってあげた女性がいました。彼女の名前がベロニカでした。

18世紀に花言葉ブームが起きた時、同じ名前のこの花に、勇敢にも真摯な献身をしたベロニカを表す花言葉が付けられ、以後、“聖女ベロニカの花”となりました。

英語の『fidelity』や他の国の『忠実』の単語も、神聖で真摯な心根と行いを意味します。

忠誠、信義、誠、真

女性の場合は神への忠誠は処女性が伴うので、

貞節、貞操、貞淑、操

などの意味を含んでいます。

『信頼』
『女性の誠実』
『神聖』
『忠実』
『清らか』
『慎ましやか』
『清浄』

これら日本の花言葉は、みな英語の花言葉の意訳です。

『隠れた才能を持つ』
『一見こわもて』

も、厳粛な聖女のイメージからきました。

花とイエスは関係なく、犬の“たま○ま”とも関係ない花言葉でしたが、オモシロ花名と花言葉の変なギャップは、こんないろんな偶然から生まれていたのでした。

イヌノフグリの基本データ

分類: オオバコ科クワガタソウ属
学名: Veronica ベロニカ(属名)
和名: 犬の陰嚢
別名: 瑠璃唐草(ルリカラクサ)
天人唐草(テンニンカラクサ)
星の瞳(ホシノヒトミ) など
英名: Speedwell
開花時期: 3~4月 春の花
花色: 青、白、紫など
草丈: 10~20cm 多年草
原産地: ヨーロッパ、アジアの温帯地域


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。