冬の花の花言葉

シクラメンの花言葉/冬の鉢花ギフトの定番も昔は縁起悪い花!?

Written by すずき大和

シクラメンは、サクラソウ科シクラメン属の花全般の総称ですが、一般的に「シクラメン」と呼ばれ、流通しているのは、

学名「Cyclamen persicum シクラメン・ペルシクム」

という品種です。ポインセチアと並び、クリスマスからお正月シーズンの贈答用鉢花の代表のようになっています。西洋では、屋外でも育てられるよう改良された園芸種がガーデナーに好まれていますが、日本ほど鉢花ギフトは人気商品ではありません。

日本でも、戦前は、どちらかというと

“縁起が悪い花”

とされ、お祝いの席や贈答品としては敬遠されていました。

戦後、暮らしが豊かになるにつれ、華やかな見た目を好む人がだんだん増えていきました。高度経済成長の時代に

「シクラメンのかほり」

という歌謡曲が爆発的にヒットしたことも、大幅イメージアップにつながり、贈答品としての抵抗感が解消され、今日の人気につながっています。



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もくじ

シクラメンの花言葉

シクラメン全般の花言葉

『遠慮』
『気おくれ』
『内気』
『はにかみ』
『恥ずかしがり屋』
『絆』
『過ぎ去った喜び』

色別の花言葉

赤花の花言葉

『嫉妬』
『jealousy(嫉妬)』(英)

シクラメン赤


白花の花言葉

『清純』
『shyness(内気、はにかみ)』(英)

シクラメン白


ピンクの花の花言葉

『憧れ』
『内気』
『はにかみ』

シクラメンピンク


青紫の花の花言葉

『遠慮』
『想いが響き合う』

シクラメン紫


西洋の花言葉

『timid hope(遠慮がちな期待)』(英)
『resignation and good-bye(辞任そしてグッバイ)』(英)
『Du (Sie) bist (sind) mir gleichgültig.(あなたに無関心)』(独)

シクラメンってどんな花?

独特の花の形の不思議

シクラメンの花は、葉っぱの間から長く伸びた花茎の先端に、花冠が5つに裂けた花が一輪ずつ咲きます。花びらの先が上を向いているように見えますが、よく見ると、花茎の先端が傘の取手のように曲がって下向きに花が咲いています。ただ、花びらが大きく反り返っているので、遠目には上向きのカップ型の花のように見えるのです。

花が下向きなのは、原産地の西アジアから地中海沿岸地方では、冬に雨が多いため、上向きに咲くと受粉がしにくく、雨を避けるために下を向いた、という説があります。

かがり火vs豚の饅頭

日本に入ってきたのは明治時代です。

反り返った花びらの花が密集している様子を、大正時代の人気女流歌人「九条武子」が

「まるでかがり火のよう」

と表現したことから、

「篝火花(かがりびばな)」

と呼ばれるようになりました。が、そう呼ばれる前は

「豚の饅頭(ぶたのまんじゅう)」

という名でした。英語の俗称「Sowbread(豚のパン)」の訳です。英名の由来は、昔は家畜の豚がよくシクラメンの球根を掘り起こしてしまったからだそうです。

花言葉の由来

下を向く様子が可愛らしい

『遠慮』
『気おくれ』
『内気』
『はにかみ』
『恥ずかしがり屋』
『shyness(内気、はにかみ)』(英)
『timid hope(遠慮がちな期待)』(英)
『Du (Sie) bist (sind) mir gleichgültig.(あなたに無関心)』(独)

これらの花言葉はみな、下向きの花姿から連想されたものです。引っ込み思案で消極的、のようなネガティブな捉え方ではなく、恥ずかし気に気おくれする慎ましやかな印象に受け止められることが多いようです。

『嫉妬』(赤)
『清純』(白)
『憧れ』(ピンク)

色別の花言葉は、色のイメージが影響しています。

次々咲いては散っていく

『絆』
『想いが響き合う』

シクラメンの花期は長く、冬の間ずっと花芽が付き、花を咲かせ続けます。ひとつの花が終わっても、次々と新しい花茎が伸びてくる様子から、仲間の連動を思わせるような花言葉が付けられました。

西洋では「離別」の象徴

『過ぎ去った喜び』
『resignation and good-bye(辞任そしてグッバイ)』(英)

冒頭で、西洋では日本ほど鉢花のギフトが流行っていないと書きましたが、実は西洋では、シクラメンの花には

「離別」「解散」

というニュアンスがあるのです。結婚式や祝賀会では避ける習慣があります。色恋の別れというより、仲間の繋がりの終わりを象徴しています。

英語の「resignation」には

  • 辞職・退職
  • 諦め
  • 忍従
  • 覚悟
  • 思い切り

など、潮時の決断をするニュアンスがあります。

贈り物の例外

縁起悪くても気にしない

日本でも、最初はなんとなく縁起悪い印象だったようです。見慣れない変な形の花ですし、特に和名が「かがり火花」になってからは、“火事”を連想してしまうので、新築や引っ越し祝いなど、住宅系のイベントには絶対NGになりました。

日本人は“縁起”にうるさいですからね。

切り花ではなく鉢花で流通するため、“根付く⇒寝付くにつながる”ということで、一般的にはお見舞いもNGです。

が、最近では、年末年始の時季に家族と離れて入院中の人に、せめてクリスマスやお正月の雰囲気を楽しんでもらえれば・・・という気遣いの方が優先されるようで、シクラメンとポインセチアのクリスマスギフトのお見舞いに関しては、容認されるようになってきています。

シクラメンの基本データ

分類: サクラソウ科シクラメン属
学名: Cyclamen persicum シクラメン・ペルシクム
和名: 篝火花(カガリビバナ)
別名: 豚の饅頭(ブタノマンジュウ)
英名: Cyclamen,Sowbread
開花時期: 11~3月 冬の花
花色: 赤、ピンク、白、青、紫、黄、オレンジ、複色など
草丈: 10~70cm 球根性多年草
花持ち期間: 5~7日
原産地: 地中海地方


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。