アカネ(茜)は、日本の本州以南でよく見られる道端のつる性の野草です。秋になると、花径3~4mmの小さな花がたくさん咲きます。
根っこに「アリザリン」という赤色成分が含まれ、染料としても昔から利用されてきました。「茜」と聞くと、花より色や染料(タイトル写真)を連想する人のほうが多いかもしれません。
花名も、赤い根っこだから「アカネ」。漢字は中国名「茜草」からの引用ですが、アカネで染めると夕焼けのような美しい赤色になりますから、
“西”の空色の“草”ということで「茜」
でしょうか・・・風流ですね。
茜雲
茜染め
アキアカネ(トンボ)・・・
和の色名は、古き良き時代の日本の里山風景を連想させる響きですが、花言葉はちょっとネガティブな印象の単語が並んでいます。
もくじ
アカネの花言葉
アカネ全般の花言葉
『誹謗』
『不信』
『媚び』
『傷』
『私を思って』
西洋の花言葉
『calumny(中傷)』(英)
『calomnie(中傷)』(仏)
『calumnia(中傷)』(西)
アカネってどんな花?
日本のアカネ
アカネ属は北半球の温帯地域に広く分布しています。日本や中国で昔から茜染めの原料にしてきたのは、東アジア原産の
学名「Rubia argyi(ルビア・アーギー)」
という品種で、日本で一般的にアカネというとこれを差します。
東洋のアカネは、黄緑がかった白色の花を咲かせます。

外来種のアカネ
日本では他に、
ヨーロッパ原産の、和名「セイヨウアカネ」
西アジア原産の、和名「インドアカネ」
も見られます。
セイヨウアカネは黄色い花、インドアカネはオレンジやピンクの花が咲きます。
こちらのアカネも、古代エジプトやインド文明の時代から、根っこを染料に使っていました。日本のアカネよりも色の出がいいので、現在では日本でも、茜染めの原料用としては主にセイヨウアカネを栽培しています。
花言葉の由来
肉食の羊!?
『calumny(中傷)』(英)
『calomnie(中傷)』(仏)
『calumnia(中傷)』(西)
これらの単語は、花言葉としては『中傷』と訳されていますが、真実でない疑いをかけられ、非難や批判、嫌がらせを受けることです。
「誹謗(ひぼう)」
「冤罪(えんざい)」
「デマ」
「誣言(ふげん、しいごと)」
などと訳されることもあります。
ヨーロッパでは、放牧されている羊などが、自生しているセイヨウアカネの根っこをほじくって食べることがよくあります。セイヨウアカネは生の根っこの時から赤色が濃く、根を食べた羊は歯や口の周りが真っ赤になってしまうそうです。それはまるで獲物をあさった肉食獣の口のようで、なかなかオカルトチックな絵といえます。
西洋の昔話では、羊やヤギなどの家畜は、もっぱら狼に食べられてしまう対象です。口を真っ赤にした羊の群れを見た人が、
「羊の群れが狼を襲って食べたぞ!」
と勘違いして、慌てて触れ回ったりしたとかしないとか・・・。
西洋では、この赤い口の羊の話は
“邪悪なものは、しばしば欺瞞的な外見を利用して、無実の者を嘆かせる”
という比喩として語られます。花言葉は、
「私たちは草食動物なんだメェ~。それは冤罪だメェ~」
と叫ぶ、羊の嘆きです。
『誹謗』
『不信』
『媚び』
は日本語の意訳です。
羊も大好きアカネの根っこの効能は
羊が食むセイヨウアカネの根っこには、どうやら発がん性物質があるらしい、という研究が最近進んでおり、食用にはされていません。
一方東洋のアカネは、昔から染料だけでなく、生薬としもても利用されてきました。
鼻血、吐血、血尿、血便などの止血、利尿、神経痛、リュウマチ、黄疸、月経不順などの薬として使われています。
『傷』
という花言葉は、傷薬(血止め)の効能に由来しているといわれます。
小さくて控えめな花
『私を思って』
という日本オリジナルの花言葉の由来はよくわかりません。
“葉に対して花が小さいので、ささやかな望みのような花言葉になった”
という解釈が一部に見られます。
茜色の夕焼けを見て、想い人への切なる願いをつぶやいた、恋心なのかもしれません。いろいろ想像が膨らむところです。
分類: アカネ科アカネ属
学名: Rubia argyi(ルビア・アーギー)
和名: 茜(アカネ)
別名: 茜草(アカネグサ)、茜蔓(アカネカズラ)
英名: Madder,Rubia (アカネ属のつる草全般)
開花時期: 8~10月 秋の花
花色: 淡黄緑、白、黄
草丈: 1~3m つる性多年草
生息地: 主に東アジア
原産地: 日本、中国、朝鮮半島