冬の花の花言葉

ビワの花言葉/やさしい花言葉と怖い副作用を持つ薬草の木

Written by すずき大和

中国から伝わった「枇杷」

日本の楽器の「琵琶」に葉や実の形が似ていたので、日本語読みは「ビワ」になりました。

と、伝える解説が一般的です。

が、実は日本もビワの原産国であり、古代から中国とは違う種のビワの葉を薬草として使っていたことがわかっています。日本のビワの実は小さく、ほとんどタネで可食部分が少なかったので、食用作物としての流通はしていなかったようです。

食用中国種が日本で栽培され、実が市場に出回るようになったのは、江戸時代以降です。が、楽器の琵琶が誕生する以前から、薬用ビワの木はあり、中国語の発音(日本語にない音)に似た「ビワ」の呼び名は既に定着していたとする説もあります。むしろ、ビワの実に似ていたので、楽器名が「枇杷」になり、果実と紛らわしいので後に「琵琶」の表記に改めた、というのです。

薬草の木と果樹と楽器、最初に「ビワ」の名が付いたのはどれであれ、花言葉には、

  • 薬草の効能
  • 実の味わい
  • 目立たない花の姿


に由来した言葉が並んでいます。

ビワの花言葉

『治癒』
『温和』
『内気』
『静かな思い』
『密かな告白』
『あなたに打ち明ける』


ビワってどんな花?

花は初冬の季語

植物のビワと聞くと、初夏を知らせる旬の果物を想像する人がほとんどでしょう。ビワの花を思い浮かべられる人は稀かと思います。が、実がなるからには、ちゃんとその前に花も咲いています。

ビワの木には、11月から暮れにかけ、枝の先のほうに白い小さな花が固まって咲きます。俳句の世界では、「枇杷の花」「枇杷咲く」などの表現は、暦の立冬から大雪の頃(だいたい11/8~12/7くらい)を表す季語とされています。

産毛のような蕾の中から顔を出す香しい花

ビワの学名は「Eriobotrya」

これは、ギリシャ語の“産毛(erion)”と“ブドウ(botrys)”を合わせた造語で、ビワの実が白い軟らかい毛に覆われ、枝先に固まって鈴なりに実る姿が、ブドウのように見えることから付いた名前です。

この産毛のような毛はビワの特徴で、葉の裏側も、花の蕾も、びっしりと細かい毛に覆われています。

花の季節には、枝先のほうに、産毛に包まれた蕾が、やはりびっしりと固まって付きます。蕾が割れて、ミルクのような黄白色の5弁の花が開き始めると、やさしい香りが周囲に漂います。

  • 香りがとてもやさしいこと
  • 木が高くなると、枝先の花が下から見えにくいこと
  • 花自体がとても小さく、こじんまりと固まって咲いていること


これらの条件が相まって、ビワの花は咲いていてもとても気付かれにくいのです。

花言葉の由来

薬草に由来

古くから、葉を煎じたものが、咳止め、利尿剤などとして民間療法に使われてきました。

また、鎮痛作用があるとされて、患部に葉を直接貼ったり、お灸の下に敷いて使いました。

病人のいる家では、薬替わりにビワの木を植えることが多かったので、

“ビワの木がある家=病人のいる家”

というイメージが広まり、意味が逆転して

“ビワを植えると早死にする”

という迷信が残る地域もあります。

それくらい、昔の日本ではビワの薬効への信頼感が強くありました。

『治癒』

の花言葉は、まさにそんなビワの効能を示唆しています。

やさしい甘さの実に由来

オレンジ色の実は、程よく柔らかく、ほんのりとしたやさしい甘さがあります。

『温和』

は、そんな穏やかでやさしい味わいの実のイメージから生まれた花言葉です。

目立たないけれど香しい花に由来

小さく目立たない花のたたずまいから

『内気』
『静かな思い』


という花言葉が生まれました。

また、目立たないようにしながらも、やさしく甘い香りを漂わせていることから、

『密かな告白』
『あなたに打ち明ける』


と、ささやかな自己主張を表すかのような花言葉も持っています。

毒をもって毒を制する薬草

アミダクリンは取り扱い要注意

ビワの鎮痛効果のもととなる成分は、「アミダクリン」と呼ばれています。

これは確かに鎮痛効果も認められます。また、最近の研究によると、がんの治療や血液浄化の効果もあることがわかってきた成分です。

が、しかし、アミダクリンは、消化器内で分解される時、猛毒のシアン化水素(青酸)を発生します。民間療法で素人が適当に利用するのは実はとても危険な物質です。

アミダクリンは、葉よりもタネに多く含まれますが、タネを焼酎漬けにしたものが、ノドの痛みや口内炎、歯槽膿漏の鎮静剤として、やはり古くから使われてきました。これも、たくさん摂ってしまうと、吐き気やめまい、肝障害を引き起こす可能性があり、現代の世ではあまりおすすめできません。

ビワの薬効は、いわばアミダクリンの毒を持って毒を制するような民間療法です。

今でも高齢者の中には、ビワの葉は消炎の湿布になるという人がいますが、やはり素人が使うのは要注意です。

“ビワの木を植えると死人が出る”

という迷信が多いのも、もしかしたら副作用事故が本当にあったのかもしれません。

せっかく奥ゆかしくてやさしい花言葉の木ですから、生半可な知識で薬草代わりにして、悲しい汚名を着せてしまうことがないようにご注意ください。


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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。