冬の花の花言葉

エリカの花言葉/群生しているのに孤独。郷愁誘う原風景の花

Written by すずき大和

エリカの仲間は、アフリカからヨーロッパにかけ、広く自生しているツツジ科の低木です。地域により、寒さに強い種類と暑さに強い種類があり、全体的に乾燥にも強く、農耕に向かない荒れた土地でもよく育ちます。

ヨーロッパには、風吹きすさぶ荒涼とした地に、お約束のようにエリカの花が群生している場所が昔からたくさんありました。果てしなく広がる荒れ野に咲くエリカの光景は、多くのヨーロッパ人にとって、郷愁の情掻き立てる心の原風景のひとつです。

エリカが日本入ってきたのは、近代になってからです。西洋文化に根付いたイメージの強いエリカは、花言葉も欧州人の郷愁の念が残る西洋のものがそのまま輸入されています。

エリカの花言葉

エリカ全般の花言葉

『孤独』
『寂しさ』


色別の花言葉

紫花の花言葉

『閑静』

白花の花言葉

『幸せな愛』
『幸福』


エリカってどんな花?

荒野じゃないとダメらしい

広範囲で古くから自生していたエリカの仲間は、原種だけで700種以上あり、植木や鉢植えとして出回っている栽培品もほとんど原種で、交配種はあまりありません。

アフリカ原産のものは、暑さに強く夏に開花するタイプが多く、

ヨーロッパ原産のものは、寒さに強く冬に開花するタイプが多いです。

日本には、最初両方の種類が入ってきましたが、アフリカ産のものは高温多湿の日本の気候にあわず、ほとんど根付きませんでした。現在は、ヨーロッパ原産の冬に咲くタイプのものが40~50種だけ、主に北海道で栽培されたり、自生したりしています。

荒野の風景は日本人には映画の世界

大陸ヨーロッパの国々では、荒野のある風景は身近でした。

ドイツやフランス、スペインなどには荒野に建つ古城の風景がたくさんあります。

サボテンや赤土の風景が広がる、アメリカ開拓地に似た風景のスペインやユーゴスラビア(当時)の荒野では、かつて「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれた西部劇映画がたくさん撮影されました。

北海道は、広大な土地が広がる自然の荒野の風景がたくさん見られる所です。

山林面積が大きく、海辺近くまで山が迫る日本では、ほとんどの人が里山か市街地の風景の中で生きています。私たちにとって、荒野広がる中での暮らしは、映画の中の世界です。

イギリス文学の中には、荒野の風景の中で生きる人々を描いた名作があります。

  • 「嵐が丘」(1847年、エミリー・ブランテ著)
  • 「秘密の花園」(1911年、フランシス・ホジソン・バーネット著)


などは、日本でも知られており、やはり映画にもなっていますね。

古典文学の古き良き時代を想像すると、ヨーロッパ人のエリカ咲く荒野の風景に対する郷愁の念が、ちょっとわかるような気もします。

花言葉の由来

孤独と郷愁

エリカ属の花全般に共通する

『孤独』
『寂しさ』


の花言葉は、荒野に立つ時の心情を表しています。

ヘザーの荒野


最もよく見る紫色系の花には、

『閑静』

という意味もあります。

ひとつの木にたくさんの花がたわわに咲き、群生しているのに、閑静で孤独なイメージを彷彿とさせる花・・・・
そこには、忙しい現代の都会で暮らしながら、古き良き時代の郷土の風景を思う、人々のなんとはない寂寥感が重なっているようにも感じます。

ほっと安らぐ白い花

また、ヨーロッパには広く

“白いエリカを思い人に贈ると幸せになれる”

という迷信が存在しており、白花に限って

『幸せな愛』
『幸福』


という花言葉もあります。

ほこりっぽい風が吹く荒地では、純白の花は美しく浮かび上がり、安らぎを覚えるものなのかもしれません。

エリカは、とにかくたくさん種類があるので、西洋では個別の種類によって特定の花言葉があるものもいくつか見られます。色味の華やかなものなどには、明るい花言葉を持つ種もあるようです。

エリカという音の響きを好んだ日本人

エリカは日本語

エリカは、この花の属を表す学名です。

ツツジ目・ツツジ科・エリカ属のエリカ(Erica)は、ラテン語からきています。

英語では、荒野を表す

「ヒース(Heath)」

がそのままこの花の名前になっています。

ドイツ語でも、荒野の意味の

「ハイデ(Heide)」

と呼ばれています。

その他の言語でも、「ヒース」が一般的で、わざわざラテン語の学名で呼んでいるのは、世界中で日本だけです。そういう意味では、エリカは“和名”ですね。

完全な外来種が初めて日本に入ってきた場合、和名は、

  • 外来の呼び方をそのままカナ表記にする
  • 中国経由で入ってきたものは、漢字表記を音読みする
  • 日本語として意味のある別名をつける


この3つのパターンが一番多いので、どこの国でも呼ばないラテン語の学名をわざわざつけたことは極めて珍しい処置でした。

ヒースには、日本語にない“th”の発音が入っているので、ラテン語のほうが馴染みやすいと思ったのかもしれません。

近代以降、花のエリカは周知されている、とはいえなそうですが、女性の名に「えりか」が使われる例が多く見られるようになりました。

音の響きとしての「エリカ」が日本人の耳に心地よいものだったのは確かのようです。

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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。