夏の花の花言葉

クレマチスの花言葉/イギリス人の愛したガーデニング・クイーン

Written by すずき大和

日本では、

「鉄線(テッセン)」

「風車(カザグルマ)」

の和名でも親しまれ、ガーデナーに人気のクレマチス。

もともと多くの原種が世界中に分布しており、アジアでもヨーロッパでも園芸種として古くから親しまれていました。

15~16世紀にかけ、日本や中国の花の大きく咲く品種がヨーロッパに伝わって以降、ガーデニングの本家イギリスを中心に交配が盛んに進められ、多くの園芸種が育種されました。現在は、原種と交配種合わせて世界中で300種ほどある人気の園芸植物です。

人間との付き合いが長いこの花には、エピソードも多く、花言葉は、そんな逸話のいくつかに由来しています。

クレマチスの花言葉

『精神の美』

『旅人の喜び』

『策略』

クレマチスってどんな花?

日本のクレマチスの歴史

正式には、キンポウゲ科センニンソウ属の別名ですが、その中で観賞用とされている園芸品種のことを日本でも西洋でも「クレマチス」と呼ぶようです。

テッセンはもともと中国原産の品種(学名:クレマチス・フロリダ)の名前、

カザグルマは日本原産の品種(学名:クレマチス・パテンス)の名前でした。

テッセンが日本に伝わったのも16世紀の初めといわれ、桃山時代には既に園芸種として栽培されていたようです。日本のカザグルマは花びらが8枚で、薄紫や白の花を咲かせていました。テッセンは花びらが6枚で白花でした。江戸時代には交配が進み、やがて紫の6枚花も見られるようになります。

明治以降、ヨーロッパ生まれの交配種も再び逆輸入され、更に交配が進められました。今では青や濃い紫色、花びらに筋模様があるものなど、日本国内だけでも200種類以上が育てられています。

ツル性植物の女王

クレマチス(Clematis)は、ギリシャ語でツルの意味のKlemaが語源といわれています。

花よりもツルに注目されるほど、丈夫で強いツルが特徴的で、昔はこのツルで薪を縛っていたそうです。中国名の鉄線も、鉄製の線のように丈夫なツルに由来した命名です。

イギリスでは、

「鬼婆のロープ」
「悪魔のより糸」


などと呼ばれることもありました。

イタリアでは

「ゴマ塩ひげ」

という呼び名もあります。

育てる時もこのツルを生かして、支柱に絡ませるようにして鉢で育てたり、柵や壁沿いに這わせるようにワイヤー等で誘引して広げたりします。花が小さめの品種が主だったヨーロッパでは、つるバラのようにアーチやオベリスク(塔の形にパイプや竹を組んだもの)に絡めて育てることもよくありました。

イギリスガーデナーの間では、バラを「キング」、クレマチスを「クイーン」と呼び、二大人気園芸種とされていました。このため、西洋ではクレマチスは

“ツル性植物の女王”

といわれています。

花言葉の由来

細いツルと大きな花は芯の強さを表す

そんな丈夫なツルですが、見た目は意外と細いのです。

か細いツルなのに、たぐいまれな強さがあり、大輪の花をたくさんつけることからも、

“物凄く生命力が強い植物”

というイメージが持たれています。そこから更に連想して

『精神の美』

という花言葉になったといわれています。

涼しい木陰で旅人をいたわる植物

花言葉『旅人の喜び(Traveller’s joy)』は、クレマチスのイギリスでの俗称でもあります。

「乙女の木陰の休息所」という呼び名もあります。

  • 聖母マリアがイエスを抱いてエジプトへ渡った時、クレマチスの茂みで休息をとった
  • アーチやオベリスクのクレマチスが作る木陰が、旅人をいたわった


などの逸話から、ヨーロッパでは

「旅人が快適に一夜を過ごせるように」

という心遣いで、宿の玄関にクレマチスを植えて、旅人を優しく迎え入れる習慣があったそうです。

キンポウゲ科の植物の葉には毒がある

人の役にたついいイメージばかりのようなクレマチスですが、実はキンポウゲ科の植物の多くは、葉っぱの汁に毒素が含まれています。皮膚につくと、かぶれたり、水疱ができたり、と皮膚炎症状を起こす場合が多いです。

クレマチスも例外ではありません。

フランスでは、その昔、乞食がクレマチスの葉をつぶして皮膚につけ、わざとただれさせ、通行人の同情を引こうとした、という話が残っています。そのため、フランスではクレマチスのことを

「乞食草」

という俗称で呼ぶこともあるそうです。

花言葉『策略』の由来は、この乞食のエピソードからきているといわれています。

六角形、八角形の幾何学模様が江戸小紋柄として様々なデザインに取り入れられてきた日本では、6枚・8枚の花弁が円盤のように大きく広がるテッセンやカザグルマの造形美は、大変縁起のよい印象を与えるものでした。江戸時代の絵画や織物、レリーフ彫刻などにも、クレマチスはモチーフとして、好んで多く使われてきた意匠です。

イギリス人に負けず劣らずクレマチスの美しさをずっと愛してきた日本人としては、この乞食草のエピソードは、ちょっと切ないものを感じます。

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筆者情報

すずき大和

花に心があったら、自分の花言葉についてどう思うだろう?と、変なことが気になる変わった子供が、成長してライターやってます。花言葉の由来をヒモ解いていくと、花より人の心が見えてきます。花言葉を添えて花を贈るなんて、日本人にはハードル高い行為ですが、まあとりあえず、のんびりウンチクを楽しんでもらえれば幸いです。